あまりにも快適で便利な生活環境は、少しずつ血管の老化を早めてしまいます。
血管が老化してもろくなっていくと、血液がドロドロになりやすく血流も滞りがちに。
やがて、「動脈硬化」といわれている症状に発展してしまうのです。
たしかに日本人の平均寿命は伸びていますが、日常的に生活をするのに何ら支障のない状態である「健康寿命」が伸ばすためにも、大病につながる動脈硬化を予防したいものですよね。
ここでは動脈硬化の基礎知識やそのメカニズム、予防方法などについてまとめました。
わかりやすい言葉で説明しているのでまったく知識のないあなたも最後まで読んでいただけます。
この機会に、血管老化による動脈硬化から身を守るための知識を持っておきましょう。
動脈硬化の原因
なぜ血栓ができるの?
LDL(悪玉コレステロール)が酸化すると血管の内膜に入り、壁内にこびりついてしまいます。
そこからプラーク(こぶ)が生成されるのです。
プラークの中身は、アテローム(粥腫)と呼ばれており、ちょっとした刺激を加えることで破裂してしまいます。
人間のからだにはプラークを修復するための応急処置して、血小板が凝集する機能が具わっていますが、そのはたらきが結果的に血栓を作り、血管を塞いでしまうわけですね。
このように血管力が低下していくと、動脈硬化が起こりやすい状態になりますが、さらに、3つの発生要因があるのです。
3つの動脈硬化症発生要因
高血圧
血管が正常にはたらいている状態というのは、かなり内壁に圧力がかかっていることを意味します。
デリケートな内壁が傷ついてしまうと、それを保護・修復するために血栓ができやすくなるのです。
血管に圧力がかかると、心臓にも甚大な負荷がかかり、動脈硬化を招いてしまう体内環境をつくってしまいます。
高コレステロール
悪玉コレステロールは良い側面もありますが、あまりにも増加すると、血管壁内にプラーク(こぶ)をつくることになります。
プラーク内部につまったアテロームと呼ばれる脂肪のようなものがだんだん大きくなることで血管の内腔が狭まり、動脈硬化を進行させるのです。
高血糖
糖が増えすぎるとしなやかで弾力のある血管が衰え、血液がドロドロに。
血管の弾力性が失われると、血管壁が傷だらけになるだけでなく、血液の流れも阻害されてしまうのです。
さらに毛細血管もふさがってしまい、動脈硬化リスクを高めてしまうでしょう。
動脈硬化がもたらす病気
血管は脳や心肺をはじめとする全身の臓器に酸素や栄養素を送り届け、それぞれの臓器の機能を高めるはたらきがあります。
その大切な血管がなんらかのアクシデントで不具合が生じたり、本来のはたらきが出来ず、老化してしまうとからだのあらゆる組織は正常に機能しなくなるでしょう。
血管が老化することで、動脈硬化の進行を加速させてしまうのは言うまでもありません。
血管年齢が高くなることで、血管が詰まったり切断したりしてしまう動脈硬化は、重篤な病気につながっていきます。
そして動脈硬化がやっかいなのは、自覚症状がないままに進行してしまうことなんですね。
動脈硬化は発生する部位によって起こる病気が変わってきます。
脳動脈
・脳梗塞・・・脳の血管が詰まって発症する。
・脳出血・・・脳内の血管が破裂する。
・脳血管性認知症・・・脳の出血などによって後遺症が残り、認知症を発症。
大動脈
・解離性大動脈瘤・・・大動脈壁が裂けることで外側と内側が離れる。
・大動脈瘤・・・血管が詰まることで大動脈の壁が弱くなり、内側からの圧力に耐えきれず膨張する。
冠動脈
・虚血性心疾患・・・冠動脈がつまり、極端にせまくなる。血流が完全にストップすると心筋梗塞になる。
腎動脈
・腎不全・・・腎臓の機能が著しく下がり、糸球体機能が60%以下まで低下している状態。
・腎硬化症・・・動脈硬化によって腎臓が収縮し、正常な機能が働かない状態。
抹消動脈
・閉塞性動脈硬化症・・・手足の抹消の動脈硬化によって、著しく血流が悪くなり、手足にさまざまな障害が発生する。
動脈硬化はいかにして進行していくか?
高血圧や高コレステロール、高血糖など、血管の老化によって、動脈内の血管内皮細胞が傷ついてしまいます。
血管壁の厚くなり、血液循環も悪くなってしまうのです。
まさに動脈硬化を歓迎するような環境といえるでしょう。
動脈硬化はその進行具合によって、以下の3つのパターンに別れます。
アテローム性動脈硬化
大方の動脈硬化はこのパターンです。
コレステロールなどのぶよぶよしたプラーク(こぶ)が血管壁の内膜のいたるところに産生。
だんだんと大きくなっていくことで、血管の内腔が狭まっていきます。
細動脈硬化
血管壁は内膜・中膜・外膜の三層構造になっています。
高血圧などの負荷によって、その三層の血管壁が裂けやすくなってしまうのです。
脳や腎臓などの細い動脈に発生しやすいのが特徴。
中膜硬化(メンケルベルク型硬化)
血液内のカルシウムが、血管壁の中膜で石灰化・沈着を経て発症する動脈硬化です。
場合によっては血管壁が裂けてしまうことも。
動脈硬化予防法
プラークを安定させる
血管の内側にできたプラークそのものは悪い存在ではありません。
動脈硬化を誘発してしまうプラークは、その内部の脂質が豊富で、膜が薄く、破れやすい不安定な状態。
これを不安定プラークと呼びます。
いっぽう、内部の脂質が少なく、厚みのある膜でおおわれている状態が安定プラーク。
もちろん安定しているといってもプラークは血液を流れにくくさせます。
ただ、安定プラークの場合、血管内皮細胞から分泌される一酸化窒素(NO)のはたらきによって、ある程度小ぶりなものにすることもできるのです。
動脈硬化を予防するためのからだにやさしい入浴法
熱い湯への入浴は避ける
「お風呂は少し熱めがさっぱりして気持ちいい」という方が多いです。
もしかしたらあなたもそうかもしれませんね。
しかし、熱めのお湯で入浴すると、血圧な急上昇⇒急降下は招いてしまいます。
当然血圧に負荷をかけることになり、血管がつまりやすくしてしまうのです。
どれだけ熱くても、40℃以下が望ましいです。
理想を言えば38℃くらいがいいでしょう。
15分~20分程度の半身浴が理想
首までお湯につかるよりも、みぞおちから下のあたりまで浸かる半身浴の方が、かえってからだをぽかぽかにあたためてくれます。
入浴時間の目安は、15分~20分程度。血圧も安定して、血行も良くなるでしょう。
もしものときの脳貧血対策として、必ず腕は浴槽のふちにかけるようにしてくださいね。
入浴前の注意点
とくに寒い季節は、脱衣所と浴室の寒暖差には要注意です。
浴室の温度が低いと血管が一気に収縮し、そのあと入浴すれば、血管に大きな負荷がかかります。
ヒーターなどで脱衣所をあたたかくしておきましょう。
また、飲酒後の入浴は控えるようにしてください。
食後、飲酒後は血圧が下がりやすいので、入浴することで血圧が急激に上昇する可能性もあります。
せめて、飲酒後、1時間~2時間程度あけてから入浴するようにしましょう。
動脈硬化を予防する食事術
動脈硬化を防ぐために若々しい健康的な血管をつくるために何を食べたら良いのかについては、「血液をサラサラにして血管年齢を若返らせる食べ物」にまとめています。
ここでは血液のドロドロを防ぐための食べ方についてお伝えしましょう。
もっとも大切なことは、「食べる順番」です。
これを気をつけるだけでも血糖値の上昇を抑えてくれるので、血管のドロドロ化の進行をくいとめ、食後高血糖も改善されます。
たとえば、青魚、白ごはん、野菜、お味噌汁といった和食の献立の場合、一番先に野菜を食べてください。
なぜなら、野菜に含まれた食物繊維を先にからだに取り入れておくと、糖の吸収をゆるやかにして、血糖値の急激な上昇を抑えるからです。
また、白ごはんを食べる前は、魚を食べるようにしましょう。
魚にはインクレチンというホルモンが出て、インスリンの分泌を促進します。
ごはんを食べると血糖値が上がりやすくなりますが、先に魚を食べておくことで上昇を抑えてくれるわけですね。
それともう一点。
動脈硬化には直接関係はありませんが、よく噛んで食事をすることは大切です。
血管が詰まりやすく、血液がドロドロの人は、早食い・大食いの人に多い事実をあなたはご存知でしょうか?
ゆっくり噛んで食べたら、満腹感が得られるので、食べ過ぎも防いでくれます。
健康のためにも、ゆっくり味わって食べるようにしてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
動脈硬化予防は、生きていくうえで死活的に大切なことです。
気をつけるのは高齢者だけではありません。
30代、40代の方にもふだんからの予防は必要になってきます。
また、女性の場合、閉経後、女性ホルモンが分泌量が低下したときに動脈硬化が起きやすいともいわれています。
日頃から、血管年齢を老化させないように、適度な運動も大事です。
運動といっても大量に汗をかくような長時間のジョギングは、血管に急激な負担をかけてしまい動脈硬化を起してしまいやすい状態といえるでしょう。
入浴や食事、そして毎日の運動によって、あなたの血管は若々しさを保つことができるのです。
以上、血管の老化による動脈硬化の基礎知識と予防法についてのエントリーでした。